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メタペタットという村がある。
旧大陸西部アルコリス地方のジォ・クルーク海に面した場所に位置する村だ。
その昔、大型の古龍である老山龍ラオシャンロンが通ってできた道を利用し、
「モンスターの楽園」と呼ばれるメタペ湿密林へと狩猟に赴くハンター達によって拓かれたのが始まりと言われている。
現在でも狩りに出かけるハンターたちの中間拠点として利用されることも多く、
場所柄、東方からの珍しい品々が取引される場所として、海を渡ってくる商人たちの出入りも多いため、かなりの活気があった。
村の中心にある広場には様々な土地の農作物や香辛料などの特産品を売る露店も数多く出ている。
その一つの店先で、変わった風貌の男が目の前にある農作物を値踏みしていた。
ゆったりとした上衣に、見ようによっては女性用のそれと勘違いする者もいるであろうほどの裾の広い下衣を身に付けている。
短めの顎ひげを生やし、どこか赤樫の大樹を思わせる赤銅色に日焼けしたその顔は、ひと目で海の男と分かる。
そして先端の尖った特徴的な耳の形は、高度な知性と精神性を併せ持った、竜人族と呼ばれる亜人種であることを示していた。
見た目は人間で言えば40~50代くらいであるが、竜人族は人間よりもはるかに長命であるため、本当の年齢は知る由もない。
「どうだい船長? 何か入り用の品は見つかったかい?」露店の店主がその男に声をかける。
「うーむ、どれも目移りしてしまうゼヨ」
船長と呼ばれた男は交易品を見ながら唸り声を上げる。
そうして、いくつかの品を手にとって見たあと、おもむろに口を開いた。
「よし! それではこの古代豆とスパイスワームを5樽ずつ、あとはココットライスを10樽、輝く竜鱗10枚と交換でどうゼヨ?」
「もう一声だ」船長の提示に、すかさず切り返す店主。
「うむむ……。 ならば、輝く竜鱗10枚に、ケルビの蒼角を2本付けるゼヨ!」
「よし、取引成立だ!」
「良い取引だったゼヨ!」満足のいく取引結果に、船長は鷹揚な笑みを浮かべて頷く。
「荷物はいつも通りでいいのかい?」
「ああ、ワシの船に運んでおいてくれゼヨ」店主の問いに答える船長。
「まいどあり! また来てくれよ!」店主の快活な声を背に受け、船長はゆっくりと歩き出した。
商いを営む場に特有の喧騒と活気を横目に、大通りを歩く。
やがて、この村を拠点とするハンターや行商人が逗留する宿屋のある一角に出る。
船長はそのうちの1軒に入っていった。

「今戻ったゼヨ!」
「あ、船長。おかえりなさいニャ」船長に声をかけたのは、一見二足歩行しているネコに見える生き物――アイルーと呼ばれる獣人である――だった。
船長が宿泊している宿屋はこの辺りでは一般的な作りで、2階が宿泊するための部屋、1階は食事を摂ることができる酒場になっている。
昼時ということもあり、酒場の店内には昼食を食べに来たハンターや商人で賑わっていた。
「ポポノタンのスモークとフラヒヤビールをくれ。よく冷えたところを頼むゼヨ!」
空いているカウンター席に座り、アイルーに声をかける。
「分かりましたニャ! 少々お待ちを」アイルーは注文を聞くと、奥の厨房に入っていった。
船長は改めて酒場をざっと見回す。
自分の他には同業と思われる風体の男たちや、狩猟に出かける前なのか、生物的な質感の防具を身に付けたハンターなどが思い思いに飲み食いしていた。
酒を酌み交わす者、一人黙々と食事をする者、何やら議論を繰り広げる者と、客の質はまちまちであった。
そんな酒場での風景を眺めていると、先程のアイルーがビールと料理を運んできた。
船長は木製のジョッキに注がれたビールを喉に流し込む。
フラヒヤ山脈の永久凍土から切り出した氷を溶かした水を使って醸造されたそれは、まるで雪山の冷気をそのまま封じ込めたかのような冷たさだった。
「くうーっ! この1杯のために生きてるゼヨ!」
渇ききった喉を潤したあと、ポポノタンのスモークに手を伸ばそうとしたその時だった。
「だから、なんで分かってくれないんだ!」
別のテーブルから怒鳴り声が聞こえた。
船長が声の主を探してみると、顔を紅潮させて立ち上がり、相棒らしき男を睨みつける若い男がいた。
男は独特なフォルムの赤い防具に身を包んでいるので、ひと目でハンターとわかる。
年の頃は15,6歳くらいだろうか。
鼻のあたりにそばかすが残るその顔はまだ幼さを残しており、男というよりも少年という形容の方がしっくり来る。
まとっている防具は赤を基調に所々に白い模様があり、肩の部分が大きく張り出している。
この地方に生息する甲殻種・ダイミョウザザミの素材から作られる防具、ザザミシリーズだった。
「俺たちの商売は、目立ってなんぼだろうが! 普段から自分の力を誇示して何が悪いんだよ!」
少年ハンターは興奮気味に仲間らしき他のハンターに怒鳴り散らす。
「でもなあ……」相棒らしき20代前半くらいの男――こちらは狩猟に出ないのか、インナー姿だった――が、ため息混じりに言う。
「だからと言って、狩りに行かない日にまで完全武装ってのはどうなんだ?」
「兄貴は甘っちょろいんだよ! そんなんじゃ他のハンターになめられちまう!」
兄貴と呼ばれた男の苦言にも、少年ハンターはまるで聞く耳を持たない。
「狩りに出ない時は、ちゃんと休息を取るのはハンターの鉄則だ。お前みたいに意味もなく防具を着込んで村を闊歩するのは、ただの阿呆だろう」
「阿呆だと……? いくら兄貴でも、言っていいことと悪いことがあるだろう!」
「まあまあ、そこまでにしておくゼヨ」
今にも殴りかかりそうな険悪な雰囲気を見るに見かね、船長は二人の間に割って入る。
「なんだてめぇは!」少年ハンターは腹の虫が納まらない様子で、船長に食ってかかる。
「ワシか? ワシは世界中の海を股にかける交易船の船長ゼヨ。……それはそうと、ここは飲み食いをする場所であって、決して言い争いをする場所ではないゼヨ。 周りをよく見るゼヨ」
そう言われてはじめて、少年ハンターは自分たちが他の客の視線の的になっていることに気付いた。
少年ハンターはばつが悪そうに、蹴倒した椅子を元に戻し、座り直す。
「えらくヒートアップしとったが、何があったゼヨ? ワシでよければ話を聞くゼヨ」
船長が言うと、二人は少し顔を見合わせ、この奇妙な竜人族に話してよいものかどうかをしばらく考えた後、やがて年上のハンターが口を開いた。
話はこうだった。
彼らは兄弟そろってハンターを生業としており、つい最近この村を訪れたのだという。
ハンターとしては兄の方がベテランであり、弟である少年ハンターはまだハンターになってそれほどの月日は経っておらず、経験不足を負い目に感じている事への裏返しなのか、
他のハンターに対しても挑戦的な態度をとったり、今のように意味もなく完全武装し、周囲に威圧感を与えるなどの素行が目立つようになった。
それを兄が諌めると、弟は「周囲になめられないように自己を喧伝するのは自分のポリシー」と反論し、先ほどの騒ぎに至ったということである。
「ふむ。確かに、なめられないように自己アピールを怠らないというボウズの言うことにも一理あるゼヨ」話を最後まで聞いた船長は、腕組みしながらそうつぶやく。
弟は勝ち誇ったように兄の方を見る。
「しかしだ。 だからと言って他のハンターに喧嘩を売ったり、意味もなく防具を着込んで周りを威圧するのはやりすぎゼヨ」
続く船長の言葉に、兄は「ほらみろ」と言わんばかりの表情を弟に向ける。
「なっ!? ……じゃあ、他にどうしろってんだよ!」今度は船長に向かって怒りの矛先を向ける弟。
「まあ、落ち着くゼヨ。……ワシが言いたいのは、自分をアピールするにもタイミングというものがあるという事ゼヨ」
ちょうどいい例え話があるゼヨ、と前置きすると、船長は一度大きく息を吸い込み、再び口を開いた。
「これは遠く離れた大陸に住んでいる、あるハンターの話ゼヨ」

第1話へ続く
改めまして、蒼坂です。
先日のHP閉鎖から色々と準備をしており、ようやく色々とこちらに書くことができそうです。
その手始めとして、このブログを大幅に改装いたしました。
今後はここに自作のSSを載せようと思っています。
ジャンルは、このブログのテーマを見てお分かりになるかと思いますが、
モンハンことモンスターハンターのSSをオムニバス形式で書いていこうかと思ってます。
近日中に第1話の序章を掲載予定ですので、よろしければご覧くださいませ。

あとは近況を。
1年ほど前から2ちゃんねるのカラオケ板紅白歌合戦に参加させていただいております。
そして、今週末の5/19と5/20、ネットラジオにて放送予定だったりしますw
詳細はこちらに載っておりますので、よろしければ是非。
それでは、今後ともどうぞよろしくお願い致します。
ども、お久しぶりの蒼坂です。
突然ではございますが、これまで運営しておりましたHP「Billion Nights」を閉鎖させていただくことになりました。
閉鎖の直接的な理由ですが、やはり例の9/18事件の影響が大きかったと思います。
あれ以降、私の中でアイマスという世界において文章を書くモチベーションがどんどん下がり、
これ以上アイマス世界の物語を書く事は不可能なまでになってしまいました。
モチベーションも上がらないまま1年以上放置しておりましたが、このままではいけないと思い、
まずはきちんとこの問題を清算するために今回の閉鎖ということになりました。
これまで私の拙い文章を読んでくださった皆様にお礼を申し上げますと共に、ちゃんと物語を完結させられなかったことを深くお詫び申し上げます。

ただ、文章を書くということに対する熱は失ってはおりませんので、近日中に何か書ければとは思っております。
その際には、こちらのブログにて掲載いたしますので、どうぞよろしくお願い致します。

2012年5月8日

元「Billion Nights」管理人 蒼坂
プロフィール

蒼坂

Author:蒼坂
関西在住の会社員。
時々しがないネット物書き兼2chカラオケ板紅白歌合戦の参加者。

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